そこへ、学校のスピーカーから放課後を知らせるチャイムが鳴り、俺は席を立った。
机の横にかけていたバッグを肩にかけ、彼女である美咲の元へ行こうとするけれど‥‥‥
さっきまで、座っていた席に美咲がいない。
おまけに、バッグもないし。
「はぁ‥‥‥」
俺は、思わず溜息を漏らした。
これで、何回目だろう?
そんなことを考えながら教室を出ると、昇降口とは反対の道に足を進めた。
桜が引っ越してから美咲は、まるで心にぽっかり穴が空いたかのように元気がない。
で、気づけば急にいなくなっている。
初めて美咲がいなくなった時、心配になった俺はあちこちと探し回った。
屋上や空き教室などあらゆる場所を探して、辿り着いた先は人通りが少ない非常階段だった。
今日もまた、階段を登るにつれて聞こえてきたすすり泣く声。
上まで登ると、美咲は階段の隅に座って顔を隠して1人で泣いていた。



