さっきまで賑やかだった部屋が一気に静かになる。

途端、緊張が増す。

「桜。なんだよ、話しって」

「あ、あんまり大したことじゃないんだけど‥‥‥」

りくにとっては、そうかもしれない。

けれど、私にとってはとても重要なこと。

「ずっと、りくに言えなかった言葉があるの」

彼の目を見つめて、

「今だから、伝えるね」

自分を落ち着かせるように、彼にゆっくり話す。

これは、きっと叶うことのない願い。

上手く伝えられるか分からないけど、どうか聞いてほしい。

こんな身勝手なことだと自分でも思っているけれど‥‥‥

あの日のことを、後悔したままで終わらせたくないから。

最後はちゃんと、

好きだったキミに‥‥‥

キミを好きだった私に‥‥‥

“さよなら”をするから。

だから、お願い。

今だけは、どうか‥‥‥

こんな私を許して。

「私‥‥‥」

ずっと、キミに言えずにいた言葉を‥‥‥

あの日、キミに言いたかった言葉を今‥‥‥




「りくのことが好きでした」