この前、桜との電話で『彼に告白された』と話してくれた。
けれど、返事はまだ保留にしているみたい。
理由を訊ねたら、『彼と一緒にいるのはすごく楽しいけど、まだ自分の気持ちが分からない』と言っていた。
まだ、桜は気付いていない。
けど、私にはなんとなく分かる。
彼の話になると、桜は凄く楽しそうに喋ること。
偏差値高いのに、彼と同じ高校を目指すこと。
それぐらい、彼と一緒にいたいんじゃないかなって私は思ってる。
いつか、彼と上手くいけばいいな。
桜は、私の恋を応援してくれた。
だから、今度は私が桜の恋を応援したい。
「やっと、俺たちの番が回ってきた」
りくと一緒に、お賽銭箱に5円を投げると手を合わせて目を瞑った。
「桜が無事、志望校に合格できますように」
隣で、りくはそう願う。
「桜が幸せになりますように」
私は、桜の恋を願った。