中学の入学式で初めて会って以来、ずっと彼のことが好きだったのに、親友と付き合うようになって悔しかったこと。
それからはずっと、自分の気持ちに蓋をして2人の恋を応援したこと。
引っ越しする別れ際、彼に想いを伝えようとしたけれど、結局は言えなかったこと。
全部話し終えると、だいぶ気持ちが和らいだ。
途端、ぽんっと大きな手のひらが私の頭の上に乗った。
「‥‥‥雫井、くん?」
彼を見上げると、雫井くんは閉じていた唇をゆっくりと動かした。
「お前はよく頑張ったな、桜」
「‥‥‥!」
初めて名前を呼んでくれた瞬間、思わず涙が出てきた。
いつも私のこと“お前”とか“チビ”としか言わなかったのに‥‥‥
「辛かった分、今は思いっきり泣け」
頭を撫でる手は、とても優しくてこんなにも温かい。
もう、雫井くんのせいで涙が止まらないよ‥‥‥



