切ないほど、愛おしい

「長谷川、今日は早退しろ」
部長が渋い表情で私を見下ろす。

「え?」

「このままじゃ病棟が回らないんだ。お前が無理なら待機の者を呼び出すしかない」
「いえ、大丈夫です。私が戻りますから」

薬を出してもらったお陰で熱も下がったてきし、ずっと座っていて体もかなり楽になった。
早退なんてしなくても十分働ける。

「ダメだよ。主治医として僕が許可しない」
「山神先生、何で・・・」

先生も医者なら、私の気持ちはわかるはずなのに。
何でそんなことを言うの?

悔しくて、悔しくて、涙が溢れそうになった。
でも、泣かない。
白衣のまま涙を流すことは出来ない。

「大丈夫。そんなに重症ではないから、1週間もすれば仕事に戻れる」
安心しろとでも言いたそうに言う山神先生。

ちょ、ちょっと待って。
1週間、私は仕事が出来ないの?
そんなあ・・・

「イヤです」

「乃恵ちゃん」
「長谷川」
先生達の呆れたような声が重なった。