切ないほど、愛おしい

「この後は不動産屋を回って、午後からアパートに行こう」
「うん」

朝食を食べ終え、コーヒーを飲みながら今日の予定を確認。
順調にいけば、今日にでも新しい部屋を決められる。
さすがにすぐには引っ越せないだろうけれど、来週くらいにはなんとかしたいなあ。
と言うことは、1週間はホテルか医局生活。
あ、荷物どうしよう。
医局に置けるかなあ?

「オイ」
「ああ、ごめん」

「また考え事?」
ちょっと呆れ顔の徹さん。

「うん。アパートが決まったとして引っ越しまで荷物をどうしようかなって思って」

「うちにいればいいだろう」

「はああ?」

それは、できないよ。
あまりにも図々しい。

「いつ具合が悪くなって倒れるかわからない人間を放り出せるわけがないだろう。陣も来週じゃないと帰ってこないらしいし、しばらく家にいればいい。せっかく布団も買ったことだしな」

「でも・・・」

「とにかく、今夜はうちに帰る。心配なら、夜になってから陣に打ち明ければいいだろう。そのためにも、次のアパートを決めて引っ越しの手配もしないとな」
「そうね」

今お兄ちゃんに話せば、絶対に怒られる。
せめて次に住むところを決めなくちゃ。

「あれ、徹?」

コーヒーをほぼ飲み終え席を立とうとしていたとき、背後から女性の声がした。