切ないほど、愛おしい

一昨日に続き、昨日も彼女をマンションに泊めた。
成り行きと言ってしまえばそれまでだが、自分でもらしくない行動をした自覚はある。


そもそもの発端は、2日前。
俺は都内の大学病院を訪れていた。
古くから付き合いのある取引先の社長が手術をしたそうで、どうしても手が離せない社長にかわり見舞いにやって来た。

時刻はもう夕方で、終わればそのまま直帰しようとわざわざこの時間にした。
会社に戻れば仕事に追われて残業になるのはわかっているし、こんな事でもないと定時になんて帰れない。
たまには早く帰って、ジムにでも足を運んでみるつもりだった。

最近は忙しくて、運動もできていないからなぁ。

ブツブツと心の中で呟き、外来のホールを通り過ぎようとしたとき、
「ハセガワノエさん」
薬局から聞こえた声に足が止まった。

この名前には・・・聞き覚えがある。
高校時代からの腐れ縁で今でも付き合いのある親友、長谷川陣の妹の名前だ。
もちろん同姓同名かもしれないし、会った事はないから本人かどうかもわからないが、何度も何度も陣から聞かされた名前。

俺はさりげなく歩を止めると、薬局のカウンターに立つ女性を振り返った。