切ないほど、愛おしい

「おはよう、ございます」

えっ。

Tシャツに短パン姿で台所に立ちコーヒーを入れようとしていた俺に、後から声がかかり驚いた。

そういえば、陣の妹を泊めたんだった。
一人暮らしが長いせいか家の中では自分1人に慣れていて、油断した。 

「ごめん、起こした?まだ寝ててもよかったのに」

「ありがとう」

まだ少し疲れが残った表情で笑ってみせる。

「顔色が悪いぞ。大丈夫?」

「うん」

嘘つけ。
きっと、あまり寝れなかったんだ。
ただでさえ研修医は激務だって聞くのに、持病持ちの彼女がどれだけ大変なことか。

「紅茶を入れるけど飲む?」

「ぇええ」

手にはコーヒーの入ったカップを持っているくせにわざわざ聞いた俺を、不思議そうな顔で見る。

「知り合いからもらったハーブティーがあるんだ。安眠効果があって飲めば必ず眠くなるから」

少し前、なかなか寝付けず疲れが取れない俺に麗子がプレゼントしてくれたハーブティー。
カモミールにいくつかのハーブがブレンドしてあるらしくそれを飲むとなぜか寝付きが良い。
持病持ちである彼女に薬を渡すわけにもいかないから、ハーブティーならいいだろうと思いついた。

「ずいぶん疲れた顔しているから少し休んだほうがいい。1時間ほど横になったら起こしてやるよ」

コトン。
大きめのマグカップを彼女の前に置いた。

「ありがとう」
「どういたしまして」