切ないほど、愛おしい

医者になれたのも、今こうして生きていられるのもお兄ちゃんのお陰。
それは私が一番よくわかっている。
でも、だからって、いつまでも子供扱いはやめて欲しい。
私だっていい大人なのに。

「お兄ちゃんは心配しすぎなのよ」

「そうだな」

窘められると思っていた徹さんの頷く声が聞こえて、

「・・・」
私の方が黙ってしまった。

素直になれない自分が恥ずかしい。
でも、私には私の思いがあって・・・

はぁー。
ため息をつき、テーブルのワインに手を伸ばす。

ペチッ。
「痛っ」

「陣にしばかれるぞ」

だからって、叩かないで欲しい。

「じゃあ、黙っていてよ」
叩かれた手をさすりながら口を尖らせた。

グビッ。
徹さんを避けながら、お兄ちゃんのグラスを一気に空ける。

ウハァー。
美味しい。

私だって、自分の体のことはわかっている。
用心もしているつもりだし、できるだけ無理をしないようにとも思っている。
でも、今の仕事をしながら体を休めるのは至難の業。

はあぁー。
やっぱり人生はうまくいかないな。

やるせない気持ちを誤魔化すように、目の前のボトルからワインを注いだ。

「おいっ、こらっ」
ボトルを奪い睨み付ける徹さん。

フン、私だって飲まなきゃやっていられないときもあるのよ。