切ないほど、愛おしい

「気に入った?」
私の表情を探る徹が、かわいい。

「うん、すごく素敵」
こんな綺麗な桜を二人締めなんて贅沢な気もするけれど、夢みたい。

「乃恵と初めての花見だからな」
「お花見?」
「ああ」

そういえば、『いつかお花見に行こう』って約束した気がする。
夢だったのか現実だったのか記憶は定かではないけれど、2人で行こうって確かに誘ってもらった。

「さあ、食べよう」

私たちが桜に見とれている間に並んだ和懐石。
どれも綺麗で食べるのがもったいないみたい。

「わざわざ用意してくれたの?」

仕事が忙しいはずなのに、いつの間に。

「まあな」
恥ずかしそうに、プイと視線をずらす徹。

「ありがとう」
すごくうれしい。

「なあ乃恵、今日が何の日か覚えているか?」

「えっと、」
今日は・・・何の日だっけ?

「1年前の今日、俺たちは初めて出会った」

ああ、そうだった。