切ないほど、愛おしい

「先生、諦めてください。麗子さんの彼は超お金持ちで、すっごい二枚目で、麗子さんを溺愛しているんですから横恋慕なんかすればこの世から抹殺されますよ」
これはあながち嘘でもない。

「へーそうなんだ」

「もう乃恵ちゃん、大袈裟ね。それを言うなら徹も一緒でしょ」
「まあ、そうですけれど」

兄弟みたいに育った2人は、独占欲も嫉妬心も同じくらい強くて時々暴走してくれる。


「今日は、孝太郎さん大丈夫なんですか?」

今までも何度か麗子さんとの食事中に乱入されたことがある。
さすがに、今日はまずいでしょうから。

「うん。今日は接待があって遅くなるはずだし、乃恵ちゃんと食事に行くって言ってきたしね」
問題ないと思うわよと、麗子さんは楽観的。

「ならいいですけれど」

「徹はアメリカ出張中よね?」
「ええ。あと2日は帰って来ません。そうじゃなかったら今日も来れなかったと思います」
ああ見えて厳しいので。

「せっかくのチャンスだから、羽を伸ばしましょうね」
すっでに2敗目のジョッキを空にした麗子さん。

「はい」

体のことを考えるとお酒は飲めないけれど、仲間と飲む雰囲気は楽しくて好き。
上司の愚痴や麗子さんとの会話で盛り上がるみんなを見ながら、私も浮かれていった。