切ないほど、愛おしい

初産でないせいか、お産はとても順調に進んだ。

昼過ぎには本格的な陣痛が始まり、夕方には生まれてしまった。

その間助産師の女性は紗耶香さんに付きっきりで、お産を見守っていた。

病院のように、『何かあれば呼んでくださいね』なんてことはなく、常に声をかけ話しをしながらのお産だった。
いつも、『先生お願いしまーす』と言われてお産に立ち会う私にはちょっとしたカルチャーショックでもあった。

もちろん陽菜ちゃんも終始いい子で、私がいる必要はなかったのかもしれない。

「おめでとうございます。2750グラムの元気な男の子ですよ」
「ありがとうございます」
おくるみに包まれた小さな命をそっと抱きしめる紗香さんの目に涙が浮かんでいた。

私も感動した。
お産は病気ではなくて、こんな風に生まれてくるのが自然なんだと思えた。

「すみません、病院へ連絡をお願いします」
声をかける紗耶香さん。

「わかってますよ」
助産師も頷きながら返事をした。