切ないほど、愛おしい

「やっぱりわかる人にはわかるんですね」
お母さんは一瞬肩を落とした後話し始めた。


お母さんの話によると、陽菜ちゃんは小児がんにかかっているらしい。
幸い治療の効果があって今は小康状態を保っているが、いつ再燃するかはわからない。
根本的な治療方法は骨髄移植しかない。
しかし、骨髄移植となれば問題はドナー。
運よくドナーが見つかればいいが、そうでなければ移植はできない。
もちろん、兄弟間であれば四分の一の確率で移植可能となるが、

「陽菜ちゃんに兄弟は?」
きっとこの時の私は医者の顔をしていたと思う。

「いいえ」
「そうですか」

言いながら、私の目はお母さんのおなかに向いてしまった。

「やっぱりそう思いますよね」
「え、いや」
ここまで顔に出してしまっては言い訳できないと思いながら、言葉を濁した。

「陽菜の病気が分かった後に、私は妊娠しました。間違っても陽菜のドナーのために子供を作ったつもりはありません。でも、誰も信じてはくれない」
「お母さん」

私は医者として、人として最低な人間だ。