切ないほど、愛おしい

「そんなに煽るな」
私の腕を上手にかわしながら、優しくおでこにキスをする。

「だって・・・」

もっと、もっともっと、徹に触れていたい。
こんな場所で不謹慎だとは思うけれど、この気持ちは止められない。

「もう少し、我慢しろ。今は元気になることだけを考えていろ」

そんなあぁ。

「もう、元気なのに」

これは嘘ではない。
目覚めてからの私は体調も良好で、何を食べても美味しいし、よく眠れるし、心臓の検査結果も今までにないほどいい。
おかげで、山神先生から提案されたカウンセリングも見合わせているくらい。
さすがに手足の筋力回復はもう少しかかるけれど、すっかり元気になった。

「退院して普段の生活に戻ったら、ずっと2人でいられる。それまでは体のことだけ考えて」
「徹?」
私は徹の言葉を遮った。

ずっと2人でいられるって・・・それって、

「ああ、これからずっと2人で生きていこう」

私は口を開けたまま、じっと徹を見つめた。

これって、プロポーズ。だよね?
うれしい。すごくうれしい。でも、

「また、妙なこと考えてる」
ギュッと右頬をつねりながら、徹が私の顔を覗き込む。

「痛いって」

図星を刺された恥ずかしさをごまかそうと顔を背けようとしたけれど、左頬に手を当てられて逃げ道をふさがれてしまった。