切ないほど、愛おしい

午後にはお兄ちゃんと麗子さんも来てくれた。

「乃恵ちゃん」

病室のドアを開けるなり駆け寄り、私を抱きしめた麗子さん。

うぅーん、いい匂い。

息が苦しくなるほど抱きしめられても、そんなことを考えてしまった私。
病み上がりのせいか、思考回路がだいぶいかれているらしい。

「乃恵が苦しいだろ、やめろ」
徹が止めてくれた。

でもね、全然苦しくはなかった。
こうしてもう一度麗子さんに会えたことがうれしくて、

「麗子さーん」
気が付くと声をあげて泣いてしまった。

「ごめんね、乃恵ちゃん。苦しかった?本当に」
「違うんです。うれしくて」
「え?」

「麗子さんもう一度会えて、それがうれしいんです」

「乃恵ちゃん」
今度は麗子さんが泣き出した。

綺麗な人は、何をしても美しい。
たとえ涙をながしても、鼻水をたらしても、絵になってしまう。
これは、反則。


「もういいだろ」

泣き続ける麗子さんの後方からお兄ちゃんが現れた。