切ないほど、愛おしい

長いまつげ。
目の下のクマ。
頬もコケ、少しやせた気もする。
きっと疲れているんだよね。

「徹」
かすれた息だけの声で、呼んでみる。

「ん?」

気配を感じてくれたのか、目をシバシバしている。

「徹」
もう一度、今度はちゃんと声が出た。

眠そうな徹をジッと見つめていると、目が合った。

「乃恵?」
私を見る驚いた顔。

しかし、そのまま徹の動きは止まった。

「乃恵?」
「ぅん」

「本当に乃恵?」
「うん」

他に誰がいるのよって突っ込みはやめておいた。
二か月も眠っていた人間がいきなり目を開ければ驚いて当然だものね。

「本当に、乃恵なんだな?」
「そうだよ」

長いことお待たせしたけれど、やっと徹の元に戻って来た。

「夢じゃないんだな?」
言いながら自分の頬をつねる徹。
「痛っ」

「あたりまえだよ」
何やってるの。

徹らしくもない行動にあきれていると、
「乃恵」
ギュッと手を握られた。

「徹、痛いよ」
「ごめん。つい」

いいよ、別に。

「ただいま、徹」
「お帰り、乃恵」

今度はそっと私の手を包み込み、徹は涙を流していた。