「誰かに相談した?」
呆れたような顔で見られ、私は視線をそらしてしまった。

「でも、なんとかします。と言うわけで、アパートには帰れませんので、どこかホテルをとるかネットカフェにでも行きます。すみません、ありがとうございました」

今度こそ起き上がり、ペコリと頭を下げようとしたとき、

「それは却下だな。こんな状態で、ネットカフェとかありえないだろう」

「でも、」
今はそれしか方法がない。

「病院へ戻るか、俺についてくるか、どっちが良い?」

「ついてくるって・・・」
さすがに少し恐怖を感じた。

「非常事態だからね、一晩部屋を貸すよ。一人暮らしだけれど、部屋は余っているんだ。それとも病院へ戻る?」

いや、でも、
「どちらもイヤって選択は?」

「ないね。それならこのまま救急へ横付けする」

やっぱり。
困ったなあ。

「どうする?」

すでに私のシートベルトを付けてしまった男性は、エンジンをかけて行き先を聞いてくる。

どうしよう、このまま逃出したいのに。

「時間切れ、救急に向かうよ」
「えええ、待って。それはダメ。あなたのお家へお願いします」
とっさに叫んでいた。

そして、ここ数日まともに眠ていなかった私は男性の車の中で眠ってしまった。