「実は、家賃節約のために友達とルームシェアをしていたんです」

「友達って、男?」
真面目に話し始めた私に、男性の突っ込み。

「違います、女の子です。バイト先で知り合った子で、良い子なんですけれどお金に少しルーズで」

「それは良い子って言わないな」

ハア、確かに。

「でも、私にとっては良い友達だったんです」
「だった?」

そう、今は「だった」って表現でしか言い表せない。
だって、

「フリーターでいくつものバイトを転々としていた子なんですが、先月末に急にいなくなって。しばらくしたら消費者金融の取り立てが来るようになって・・・」

「それって」

「はい。彼女が借りていたようです。中には私を保証人にしたものもあるとかで、何度説明しても諦めてはくれないんです。だから、今はアパートに帰れる状態ではないんです」

取り立ても、初めのうちは昼閒に訪問してくるくらいだったけれど段々エスカレートして、今では昼夜かまわずドアの前で大声を上げるようになった。
お陰で、私はここしばらくアパートに帰っていない。