切ないほど、愛おしい

「これ、孝太郎から」

差し出された真っ黒なカード。

「何だよ?」

これは鈴木家の家族カード。
クレジット機能のついた俗に言うブラックカードって奴だ。
俺も高校時代には社長から生活費に使えと渡されて、時々使っていた。
さすがに社会人になったときに返したが、なぜ?
今さらそんな物をもらういわれはないぞ。

「徹がお金持ちなのは私もわかっているけれど、これは孝太郎からの気持ちなの。黙って受け取ってもらえない?」

「そんなこと」
出来るわけないじゃないか。

「今回のことは私の短慮のせい。孝太郎にも余計なことをしたって、凄く叱られたわ。そのこともあって、孝太郎も何かしたいのよ。だから、受け取って欲しいの。徹に受け取ってもらえなければまた私が叱られるから」
お願いポーズで俺を見る麗子。

「しかし」
それとこれとは話が、

「それにね、このことはお父様の意向でもあるの」
「社長の?」
「ええ」

そんなバカな。