切ないほど、愛おしい

そもそも、麗子は俺と乃恵をどうにかしたいと思っていたらしい。

敏感な奴だから、俺の気持ちにも乃恵の気持ちにも気づいていて、陣の思いも知った上でなんとか丸く収まらないかと画策を巡らせた。

その頃の俺は、仕事にも私生活にも投げやりになっていたし、陣との関係もこじれていた。
乃恵の方も、肉体的にも精神的にも不調が続いていたらしい。

そんな時に舞い込んだ俺の見合い話。
麗子から見れば、俺たちの気持ちを試すには絶好のチャンスに映ったことだろう。

麗子は何も言わずに乃恵を呼び出し、乃恵は俺の見合いの席に偶然居合わせた。
そして、乃恵に気づいた俺は逃出してしまった。
そこまでは麗子の読み通り。
これで俺と乃恵が結ばれれば、麗子の作戦は大成功に終わるはずだった。
しかし、
乃恵は旅先で倒れ意識を失った。

もちろん、これは麗子の責任ではない。
たまたま運悪く発作が起きたんだと思いたい。
もしストレスが原因だったとすれば、それは麗子ではなく俺に責任がある。
俺が自分の感情のままに、乃恵を振り回してしまったんだ。