切ないほど、愛おしい

すぐに救急隊が到着し、運び込まれたのは地元の総合病院。

救急病院とは名ばかりのこじんまりした所。
運び込まれるとすぐにスタッフに囲まれた乃恵を俺は遠くから見ることしか出来ない。


「すみません、家族の方ですか?」
白衣を着た男性が声をかけてきた。

「ええ、まあ」
ここで友人ですというのも気が引けて、曖昧に答えてしまった。

「患者さんの持病があれば教えていただけますか?」
「えっと・・・」

確か心臓が悪いと聞いたが、具体的にはわからない。

「あと、服用中の薬があれば教えてください」
「ああ、薬・・・」

病院で薬をもらっていたが、何を飲んでいるのかはわからない。
結局俺は、彼女のことを何も知らないんだ。

「すみません。薬も既往歴もわかりませんが、かかりつけの病院ならわかります。先月も入院をしていましたし、彼女自身もその病院のスタッフですので確認してください」
「わかりました、連絡を取ってみます」

俺は病院の名前を伝え、陣にも連絡を取った。