うぅーん。

目を覚まし、手足を伸ばす。
ベットの堅さもシーツの肌触りも家の物とは違って、少し柔らかい。

そうか、昨日は乃恵と・・・
思い出してから照れてしまった。

自分がこんなに直情型の人間だとは思わなかった。


「おはよう」
客室の備え付けの露天風呂へと続く扉を開け、すっかり身支度の終わった乃恵が現れた。

「ぁ、ああ、おはよう」

平気な顔をして声をかける乃恵に対して、動揺している自分が面白くない。
何で俺の方が照れているんだ。

「露天風呂、とっても素敵よ」

昨晩のことは何もなかったように笑いかける乃恵が、少し大人びて見える。
24歳は十分大人だが、俺の中ではいつまでたっても子供で親友の妹。のはずだった。
それが・・・


「体、大丈夫か?」

珍しく感情に走ってしまったため、乃恵のことを気遣ってやる余裕がなかった。
さすがに乃恵の過去を詮索する気はないが、昨日の俺は優しくなかったと思う。
もしかして幻滅されているんじゃないか、そんなことを思って声をかけてしまった。

「大丈夫」
ちょっとだけ俯き返事をする乃恵。

「ごめんな」
無意識に口を出た。