切ないほど、愛おしい

男性のスーツに頭をもたげ、私は泣いてしまった。

病院の片隅にある小さな緑地には外灯もなく、夜になれば真っ暗。
当たり前のことだけれど、こんな時間にここへやってくる人もいない。
時々駐車場を出入りする車のライトが当たって、その時だけ男性の表情が見える。

まず目に付くのは、スッと通った鼻筋。
形のいい唇と、少し骨張った頬。
そして、長いまつげ。

綺麗な顔だなと見とれそうになって、目が合ってしまった。

「どうした?」
「・・・別に」

この強い眼差しがなければ、ただのイケメンでしかないのだけれど。
大きくて二重の目はきりっとして、意志の強さを覗かせる。
本当に、吸い込まれていきそうな瞳。


「どうしてこんな事を?」
だいぶ気持ちが落ち着いてから、やっと口にした。

ただのナンパにしては随分手が込んでいるし、タイミングも絶妙すぎる。

「病院から着けてきたんですか?」

これが、色々と考えて出た答え。

「ああ」
男性も否定しない。

「同情ですか?」
「かもね」

やっぱり。