「なあ、乃恵」
息が掛かりそうなくらい至近距離で、徹さんの声がする。
恥ずかしくて顔をそらしたいのに、頬に添えられた徹さんの手に阻まれて動くこともできない。
きっと今、私は耳まで真っ赤になっていることだろう。
「今だけ、全てを忘れよう」
「え?」
「お互いの仕事のことも、今後のことも、一旦忘れよう」
「そんなこと」
社会人である以上そんな無責任なことはできない気がする。
「俺はあの時、乃恵といたいと思った。たとえ全てを失っても、乃恵のことを手放したくはないと思ったんだ」
真っ直ぐに目を見ながら、一言一言話す徹さんの言葉に嘘は感じられない。
「私も同じ。たとえお兄ちゃんと絶縁になっても、徹さんといたいから」
「乃恵」
一瞬驚いたように目を見開いた徹さんが、ゆっくりと唇を重ねてきた。
最初は触れるだけのキス。
チュッと音をたて一旦離れたと思ったら、今度は心を惑わせるような濃厚なキスが降ってきた。
深くなる口づけとともにお互いの感情も流れ込んでくる。
私だって、キスが初めてなわけではない。
その先だってすでに経験はある。
でも、今日は初めてのように心がざわついた。
まるで駆け落ちのように逃げてきた背徳感が気持ちをかき乱したのかもしれないし、いつも冷静で落ち着いた印象の徹さんの情熱的な部分を見て触発もされた。
息が掛かりそうなくらい至近距離で、徹さんの声がする。
恥ずかしくて顔をそらしたいのに、頬に添えられた徹さんの手に阻まれて動くこともできない。
きっと今、私は耳まで真っ赤になっていることだろう。
「今だけ、全てを忘れよう」
「え?」
「お互いの仕事のことも、今後のことも、一旦忘れよう」
「そんなこと」
社会人である以上そんな無責任なことはできない気がする。
「俺はあの時、乃恵といたいと思った。たとえ全てを失っても、乃恵のことを手放したくはないと思ったんだ」
真っ直ぐに目を見ながら、一言一言話す徹さんの言葉に嘘は感じられない。
「私も同じ。たとえお兄ちゃんと絶縁になっても、徹さんといたいから」
「乃恵」
一瞬驚いたように目を見開いた徹さんが、ゆっくりと唇を重ねてきた。
最初は触れるだけのキス。
チュッと音をたて一旦離れたと思ったら、今度は心を惑わせるような濃厚なキスが降ってきた。
深くなる口づけとともにお互いの感情も流れ込んでくる。
私だって、キスが初めてなわけではない。
その先だってすでに経験はある。
でも、今日は初めてのように心がざわついた。
まるで駆け落ちのように逃げてきた背徳感が気持ちをかき乱したのかもしれないし、いつも冷静で落ち着いた印象の徹さんの情熱的な部分を見て触発もされた。



