切ないほど、愛おしい

気がつき慌てたときにはもう遅く、コップのお水はテーブルにこぼれ、水滴が私のスカートにもかかっている。

「ああ、やっちゃった」

これって私の悪い癖。
1つのことに集中すると、周りに気が行かなくなる。
こんなことでよく医者になれたなあって思うけれど、不器用な私は2つのことを同時にすることができない。

「お客様、大丈夫ですか?」

駆け寄ってきたウエイトレスにタオルを渡され、私はスカートの水滴を拭き取る。

さっきまで向かいの席の女の子を笑っていたくせに、今は私の方がずっと恥ずかしい。
ホント、何をやっているんだか。

「よろしければ、お席を変わられますか?」
テーブルの上が水たまりになったのを見て、ホテルマンが言ってくれるけれど、

「いえ、大丈夫です」

多少ウエットな感じはあるけれど、テーブルは綺麗に拭いてもらったし、これ以上目立ちたくなくて辞退した。

「では、コーヒーのお替わりをお持ちします」

すでに口を付けてしまったコーヒーにも水はかかっていたため、いつの間にか下げられていた。

「すみません」

もう、恥ずかしくて顔が上げられない。
全部私の責任なのに・・・