「普段着物を着ることがないもので、トイレに行こうとしたらどうしたら良いかわからなくなってしまって、」
全く悪びれる様子もなく、女性は口にする。
クスッ。
さすがに初対面のお見合いの席でそんな話をしなくてもと、笑いそうになった。
かわいいなあ。
離れているからぼんやりしか見えないけれど、まだかなり若そう。
もしかしたら、学生さんかな?
「もう、華子。あなたって人は」
同席したお母様の方が焦っているのが、余計に面白い。
「どうか気になさらずに。素直で楽しいお嬢さんだ。こいつは少し堅物で、真面目すぎるところがありますから、ちょうど良いでしょう」
柱の向こうから聞こえてきた中年男性の声。
そうよね、こういう天真爛漫な感じって男の人は好きだものね。
私のどこをさがしてもなさそうなかわいらしさ。
「なあ徹、お前もそう思うだろ?」
黙ったまま話そうとしない若い男性に、話を振るおじさま。
「ええ、そうですね」
穏やかだけれど、感情のこもらない返事。
その瞬間、私の鼓動が大きくなった。
徹?
そしてこの声。
ソファー越しに見える背中も、全てあの人に似ている。
「嘘」
無意識に、私は呟いていた。
全く悪びれる様子もなく、女性は口にする。
クスッ。
さすがに初対面のお見合いの席でそんな話をしなくてもと、笑いそうになった。
かわいいなあ。
離れているからぼんやりしか見えないけれど、まだかなり若そう。
もしかしたら、学生さんかな?
「もう、華子。あなたって人は」
同席したお母様の方が焦っているのが、余計に面白い。
「どうか気になさらずに。素直で楽しいお嬢さんだ。こいつは少し堅物で、真面目すぎるところがありますから、ちょうど良いでしょう」
柱の向こうから聞こえてきた中年男性の声。
そうよね、こういう天真爛漫な感じって男の人は好きだものね。
私のどこをさがしてもなさそうなかわいらしさ。
「なあ徹、お前もそう思うだろ?」
黙ったまま話そうとしない若い男性に、話を振るおじさま。
「ええ、そうですね」
穏やかだけれど、感情のこもらない返事。
その瞬間、私の鼓動が大きくなった。
徹?
そしてこの声。
ソファー越しに見える背中も、全てあの人に似ている。
「嘘」
無意識に、私は呟いていた。



