切ないほど、愛おしい

「君だって分かっているはずだよね?」

何がと言いかけて、息を飲み込んだ。

今日の山神先生は怖い。
今までだって何度も叱られたけれど、こんな風に怒られたのは初めて。
とっても冷たい感じがして、この先何を言われるんだろうと身構えてしまった。

「医者なんだから、自分の体の状態は分かっているよね?」
「ええ」

先天性の心疾患。
それ自体決して珍しいわけではないけれど、程度としては中程度の症状で薬を服用しながら気長に付き合っていくしかない。
過度なストレスや急激な運動をすれば心不全を起す可能性も否定はできない。
でも、普通に暮らすには問題ないし、大人になって体力もついたから行動制限だってグッと減った。

「人の命なんていつどこでどうなるかわからないけれど、君は人よりもリスクを抱えている。それを承知で医者になりたいって言ったんだから、もっと自覚を持って行動しなさい」
「先生・・・」

それって、私みたいな子が医者になるべきではなかったってこと?

「主治医として言わせてもらう。今の勤務は君にとって負担が大きいと思う」

そんな、
「大丈夫です。私大丈夫ですから・・・」
お願い見捨てないでと、訴えた。

今ここで山神先生に見捨てられたら、私は立ち直れない。