驚くぐらい自然に、私の職場復帰は完了した。
突然休んだことで嫌みを言われることもなく、逆に気を使われることもなく当たり前のように日常が戻ってきた。

「長谷川先生、これお願いね」
「はい」

「あー、先にこれやって」
「はいはい」

あまりにたくさんの仕事を抱えれば、「もう少し気を使えよ」「こっちは病み上がりなんですけど」なんて思う時があるけれど、元気に働けることが嬉しかった。
お兄ちゃんも仕事に戻り、マンションで顔を合わせることも少なくなった。
できれば早めに住むところを探したいけれど、お兄ちゃんの反対で仕方なくマンションに居候。
それでも、2日に1度ぐらいしか顔を合わせないせいかお兄ちゃんとの同居も苦にはならない。

あれ以来徹さんとの連絡が途絶えてしまって寂しい思いはあるけれど、お兄ちゃんの手前何もできず、麗子さんから電話で近況を聞くしかない状態。

正直、会いたいと思う。
どうしているんだろうと気になって仕方がない。
でも、今の私にはどうしようもない