切ないほど、愛おしい

「それで、入院したのはいつ知った?」

「今朝だ。昨日、たまたま麗子が病院で会ったらしくて、」

「え、ちょっと待て。麗子って青井麗子?何であいつが出てくるんだよ」

「だから、土曜日に、乃恵ちゃんとアパートや警察の手続きに行く途中で麗子に会ったんだ。それで乃恵ちゃんのことも知っていて」

「はあぁ?俺の知らないところで、お前達何してるんだっ」

「別に何もしてないよ。偶然麗子に会って『誰なの?』って聞くから、『陣の妹だ』って答えた。それだけだよ」

そこに関して、やましいことはない。

「わかった。偶然麗子が乃恵と病院で出会った。そのことを今日徹は聞いたわけだ」
「ああ、そうだ」
間違っていない。

「じゃあ聞くが、なぜ俺に知らせなかった?」
「えっ、それは・・・」

「徹、お前とは長い付き合いだから、俺が乃恵の体のことを心配していることはよくわかっていたはずだよな?」
「まあな」

「アパートが荒らされていて帰れないから泊めてくれるのと、退院した乃恵をマンションに連れて帰るのは事情が違うぞ」

どういうつもりなんだと陣が聞いている。

俺が仕事を放り出して病院へ駆けつけた理由。
陣に知らせずに、マンションに連れ帰った理由。
それは、乃恵ちゃんのことが心配だったから、放っておけなかった。
でも、その行動の根拠は俺にもわからない。