切ないほど、愛おしい

乃恵ちゃんがゲストルームに入ってから、俺も陣もパソコンを広げて仕事を始めた。
家でできる仕事なんてたかが知れているが、少しでも前倒しして仕事をこなし明日以降の時間を確保したかった。

そんな中でも、15分に1度は部屋を覗き乃恵ちゃんの状態を確認しようとする陣。
やはり陣にとって乃恵ちゃんは特別な存在なんだと思い知った。

「人の苦労も知らずに気持ちよさそうに寝てるよ」
何度目かの確認から帰ってきた陣が独り言のように呟く。

「そうか」

ちょうど仕事の切りも良いタイミングだったため、俺も立ち上がり台所に向かった。


「陣、飲むか?」
冷蔵庫からビールを出して見せる。

「ああ」


適当なつまみも見繕い、缶ビールを2本テーブルに運んだ。

「お疲れ」
「ああ、お疲れ」

何がお疲れなのかと思いながら、ビールを流し込む。

「まさか、乃恵が徹のマンションにいるとはなあ・・・」
「あ、ああ」

やはり、この話は避けては通れないよな。