切ないほど、愛おしい

冷蔵庫に作り置きされた惣菜を温めて夕食をとった。

お肉も、サラダも、煮物もみんな家庭の味で美味しかった。
徹さんが炊いてくれたご飯を食べる私の横で、ビールを飲む徹さん。
きっといつもこんな生活をしているんだろうな。

「お風呂は?」

「シャワーで、いいわ」

家でもほとんど浸かっていなかったから。

「熱を確認してからな」
「はぁ?」

「当たり前だろ、無理をせず、きちんと食べて、薬は毎食後、朝と晩は検温をして少しでもおかしいときは病院へ連絡する。ちゃんと注意事項を聞いてきたんだ」

「え、ちょっと待って、誰に聞いたのよ」

「病棟の看護師さん。病室を出たところで声をかけられて」

嘘。
いつの間に・・・

「他には何か話したの?」

「うーん、名前と、連絡先と、あとは・・・」
「あとは?」

「どういうご関係ですかって聞かれたから、友人ですって答えておいた」
「そう」

友人ね。
確かに、そうとしか答えられない。
でも、連絡先まで聞かなくても良いだろうに。

その時、

ピンポーン。
インターフォンが鳴った。

不思議そうな顔をして立ち上がる徹さん。

私も腰を浮かせ、画面に視線を向けた。

「はい」
徹さんの声の次に聞こえてきたのは
「俺だ」
最高に機嫌が悪いお兄ちゃんの声だった。