切ないほど、愛おしい

マンションに帰り、私はリビングのソファーに横にされた。
もちろん抵抗はしてみたけれど、いくら「大丈夫だから」と言っても一切聞き入れてはもらえない。
こと体調に関しては、完全に信用を失ってしまったらしい。

ただ、この部屋は自宅に帰ったようにくつろげた。
漂う香りも、ソファーの感触も、カーテン越しの日差しも、自分のもののようになじんでホッとした。

ヤバイ、私はそうとう病んでいる。

「どうした?気分悪いのか?」
黙り込んでしまった私を覗き込む徹さん。

「ち、違うから」

突然至近距離から現れた顔に、思わず体を引いた。

ッたく、そんなに無防備に近づかないで欲しい。
徹さんがどういうつもりかはわからないけれど、意識してしまった私には刺激が強すぎる。

「顔が赤いぞ」

「平気だからっ」

伸びてきた腕をスッと避けて、私は背を向けた。


お兄ちゃんの親友で、7つも年上で、私のことなんて子供としか見ていない徹さんに恋をしてもどうしようもないのはわかっているのに、気持ちが止ってくれない。

医者になるんだって目標のために恋を遠ざけ、病気を言い訳に人と向かい合ってこなかった私は、思いを持て余している。

どうしよう、私、徹さんが好きだ。