切ないほど、愛おしい

どうやら本当に早退して帰ってきてしまった徹さんは、私を車に乗せて自宅マンションへと向かった。

「つらかったらシートを倒して寝てろ」
「うん」

「何か食べたいものがあれば、買って行こうか?」
「大丈夫」

徹さんのマンションにはぎっしりと食材の詰まった冷蔵庫があるんだもの。
そこから好きなものを食べさせていただく。

「明日は午後から抜けられない会議があるんだ。暫く1人にするけれど」

えっ、
もしかして明日も休むつもり?

「私は1人で大丈夫だから、徹さんは仕事に行って」
じゃないと私の方がいたたまれない。

「何言っているんだ、病み上がりのくせに」

「・・・」
真っ直ぐに前を見たままハンドルを握る徹さんの横顔を見つめた。

病院に駆けつけたときこそ怒っていたけれど、今はとっても優しく声をかけてくれる徹さん。
その思いにどんな感情があるのか私にはわからない。
それでも、この2人の空間はとても安らぐ。もう少しこうしていたい。

「陣には本当に知らせなくていいのか?」

「うん。後で電話するから」

返事はしたものの、自分から連絡する勇気はない。
いつまでも黙っていることはできないけれど、もう少し時間が欲しい。

「そんな情けない顔するな」
徹さんが、チラッと私を見る。

「うん、ごめん」

なぜだろう、今日の私は謝ってばっかりだ。