切ないほど、愛おしい

多くもない荷物をまとめ、昨日着てきた出勤用の服を着て、私は病室を出た。

久しぶりにゆっくり寝たせいか、いつもより体が軽い。
心配事が綺麗になくなった訳ではないけれど、体力が回復したせいで「さあ頑張るぞ」って気力はわいてきた。
やっぱり建康が一番。これからはもっと体を労ろう。

病室を出た私は医局に顔を出し、こから3日間の休暇届を出しから医局の先輩達に迷惑をかけてしまったことを詫びた。

不思議なことにイヤな顔をする人はおらず、「元気になって戻っておいで」と送り出してくれた。
いつも辛辣なことを言われる続けているからびっくりしたけれど、でもうれしかった。
ここに戻ってきて良いんだと言ってもらえた気がした。



「お待たせ」
「ああ」

ロビーに降りると徹さんが待っていて、私が持っていた大きな紙袋を奪う。

さも当然のように私の隣に立ち、腕をとる徹さん。
幸い今日は週明けの月曜日で病院も混雑しているから、私に気づくスタッフはいなかった。

「お大事に」

きっと私の素性なんて知らないであろう受付スタッフに笑顔で言われ、

「お世話になりました」
ペコリと頭を下げた。

「さあ、行こう」

腕をつかんだ徹さんが歩き出すと、私もつられて正面玄関へと向かった。