切ないほど、愛おしい

「あんなに叱りつけてやろうと思っていたのに」
ちょっと悔しそうに、徹さんが私を見下ろす。

徹さんの中で、私はどういうポジションなんだろう。

親友の妹?
何をしでかすかわからない無鉄砲な女?
我がままで言うことを聞かない年下女子?
いずれにしても、良い印象でないのは確かだ。

はあぁー。
溜息が漏れてしまった。

「どうした?具合悪い?」
心配そうに声をかけられ、
「違うっ」
ぶっきらぼうな答えになった。

私だって麗子さんのように、余裕のある大人の女性でいたい。
怒ったり、泣いたり、叫んだり、そんなみっともない姿は見せたくない。
それなのに・・・

「もう、帰れるのか?」
「え?」

「せっかくだから送っていくよ」
「うん、でも・・・」

忙しい徹さんにそんな時間はないはずなのに。

「又逃げられても敵わないから、うちまで送る」
「うん」

うちって、徹さんのマンションだよね。きっと。
本当はホテルをとるつもりだったのに。

「ロビーで待っているから、準備しておいで」
「はい」

正直、向かえに来てくれたことがすごくうれしい。
きっと1人で帰るんだろうと思っていたし、病み上がりのせいか1人が寂しかった。
それに、私は徹さんに会いたかった。

「徹さん、ありがとう」

「バカ。待ってるから」

そう言うと、徹さんは病室を出て行った。