切ないほど、愛おしい

大きくて温かいその温もりに、私は流されてしまいそうだった。
たった数日前に初めて会った人のことが愛おしくて、背中に手を回す。
ここが職場だって事も、いつ誰が入ってくるかわからないことも、気にならなくなっていた。

今は徹さんの鼓動を感じていたい。
離れたくない。
離したくない。

「怒ってごめん」
私の知っている穏やかな声。

「いいの」
怒られるようなことをしたのは私だから。

「それでも、病人相手に乱暴な態度をとった」
肩を落としうなだれる徹さん。

「本当にいいの。悪いのは私だから」

叱られたくなくて隠し事をしたのは自分自身。
心配かけたくなかったなんて綺麗事で、保身のための行動だったことに間違いない。

「元気そうでよかった」
ホッとした声と共に、肩に回された腕に少し力が加わった。

「・・・会いたかった」
自然と口から出た。

人を好きになるのに理由なんてない。
人を好きになるのに時間なんて関係ない。
好きになった思いは、誰にも止められない。

私は徹さんのことが、好きだ。