切ないほど、愛おしい

「黙っていればわからないと思ったのか?」

「・・・・」
答えはイエスだけれど、口に出す勇気がない。

「陣には?」

ブルブルと首を振った。

「はあぁー」
盛大な溜息をつき、近くにあったイスに座ると、ジッと私を見る。

私だって良いことをしたつもりはない。
でも、たいしたことはないと思ったし、退院して元気になり新しいアパートに引っ越をすれば全ては笑い話になると思った。
きっと言い訳にしか聞こえないだろうけれど、これ以上余計な心配をかけたくなかった。


「陣に知らせるぞ」
上着のポケットから携帯をとりだした。

「ま、待って。すぐに退院するの。退院したら3日間は休みを取るし、ちゃんと元気になったら自分で話すからもう少し黙っていて」
お願いと手を合わせてしまった。

しかし、

ピシッ。
いきなり飛んできたデコピン。

「痛っ」
つい、イラッとした。

そんなに怒らなくたって良いじゃない、こっちは病人なのに。