「ったく、なんでここにいるのよ。間が悪いわね」
ギッと私を睨み付ける先輩。

「そんな・・・」

私はたまたまここにいただけで、

「今回のことは報告書にして明日の朝一で提出してちょうだい」
「いえ、今から」

イヤなことはとって置いても良いことないし、今日のうちに処理する方が自分のため。どうせ、明日は明日で忙しいわけだし。
そう思って医局へ向かおうとした私に、

「今日はいいから。これ以上トラブルを起こされたって困るの。おとなしく消えて」

憎々しげに言い放った先輩は、部長達が消えた診察室へと入って行った。

はあぁー。
また嫌われたな。

元々、賢いわけでも器用なわけでもない私は指導する先輩から好かれていない。
その上、持病を理由に当直を減らしてもらっているから同期の受けも良くない。
最近では、完全に悪目立ちしてしまっている。
それなのに・・・

はあー。
また溜息が出てしまった。

本当に、逃出してしまいたい。