結局、『小説の書き方』という本を、図書館から借りてきた。
 家に帰り、本のページを何枚かめくってみる。こんなことが書かれていた。

『小説(文学)というものは、自分の心の闇を見つめなければならない。闇とは、弱さ醜さであり……』

「うわ、この本……ガチなやつ」

 圧倒されながらも、なぜか惹き込まれているオレがいた。

「心のヤミか…… エロ恥ずかしいことばかりだな」

 普段、目をそむけていたそれ。勇気を出して思い返してみた。そして、夏の思い出というテーマと、重ね合わせてみる。
 一つ思い当たることがあった。


 それは、去年の夏のことだった……