白井音恵…しろいおとめ、22歳。
インドアの為、色白ではあるけどまぁ、いうたら自称ただの白豚である。
背はないし痩せてもない。散々考えて誇れるのは……………くぅっ、Eカップの胸。
いやいや、毛穴の見えない肌の透明感と言っておく!!
いや、肥満ではないよ!(たぶん)


そして現在目の前に居る、初対面の上司。
名前……なんだっけ。
前もって伝えられていた。
ワンツーマンで暫く教育つけてくれるって上司。
28歳だそうだ。社内での出世株。役職は知らないけど。
人の気にしてるフルネームを繰り返しやがった。あー白豚には似合わない名前を貰いました。キラキラっすね!

あなたは。あ、そうそう。ないと!きしないと。
岸騎士!!脳内でひらがなに手解き、妄想して…やばっ、ふざけすぎでしょ。っと勝手に白馬まで思い描いた。
騎士様かよ!と、内心で全力毒づく。
そして体裁上……表情は崩さないよう必死に頑張る。



どっかに欠点があるなら全力で表沙汰にだしたろう。鼻で笑うとか。
ないんだよ。くうっ!
高身長、無駄脂肪無し、イケメン……サラサラかよ!髭類の毛穴無しかよ!瞳もどうなってる……極潤かよ!!


でもそれは色々過去に見慣れたおとめにはどうでもよかった。
ただ、ただ………ひとつ。
のっけからどうしようもない引き寄せらる感覚に逆らっていた。



…匂いが今までと違った。



たしかに出会い頭バカにされた感がイラッとはした。
しかし………その上司は今まで高揚感があった人工の匂いを、追い求めていた香りを纏ってはいなかった。
多分、本来つけていなければならない自社製品すらも身にしてはいない。

本来備えている香り。
天然のフェロモン………



ものくっそえ~ぇ香り……ーーー




マイナス因子がまったくゼロの………言うたら満点、脳内絶賛総動員でスタンディングオベーションを繰り広げている状態だ。


しかし、元来真面目の性格だ。印象における苛立ちと本能が告げる情報に………グルグル。
見事に弾けた。



「あっ……おい!」



笑えることに白目を向きながら……


天をあおぐ…………



ーなんだ、こ…………れ……ー




後頭部に床が迫る。
本人、おとめはあー…白目向いてたんこぶなんて嫁に行けねーわ。位しか範疇く意識を失ったけど。



本人は知らない。
実際はそんな音恵の身をまもるべく、滑り込んだ彼のその腕が床からの痛みから庇い……その身を抱えいとも簡単に医務室に運んだことは、当の本人知るよしもなかった。