涙が溢れそうになるのを必死に我慢した。
 しかし赤薔薇会の侵略は、明らかに俺の人生を
蝕むように進んで行く……。

 新たな事件が起きていた事を俺は、
この時、知らなかった。
 街の何処か遠くからライフル銃を撃つ音が聞こえていた。

「組長!?」

「大変だ。組長が撃たれたぞ!!」

特殊なライフル銃による殺人事件が発生していた。
 撃たれたのは、ヤクザの組長だった。騒ぎになる中
数キロ先のビルの屋上で、その現場を覗いている男が居た。
 その男は、PCウォッチのテレビ電話をしながら
ニヤリと不敵の笑みを溢していた。

「無事に撃ち殺しました。ありがとうございます。
俺に悪い奴らを殺す機会を与えて下さって。赤根さん」

『ご苦労様。どうだった?人を殺した感想は?』

「最高です。だって悪人を倒したんですよ?
俺……本物の勇者じゃないですか」

 まったく詫びれる様子はなかった。
むしろ誇らしげに語っている。

『そうか……それは良かった。君ならその特殊な
ライフル銃“gunman(ガンマン)01が扱えると
信じていたよ。
そうさ今日から君がヒーローだ。
ゲームでもなく漫画でもない悪人を殺す正義の主人公。
次も期待しているよ』

「お任せ下さい。フフッ……俺は、ヒーローだ!」

その目は、明らかに他の人と違っていた。
俺がその事件を知ったのは、夕方の速報ニュースだった。
ぼんやりしながら観ていたらその事件を知り驚いた。

『暴力団の四神会・白虎組(百城)の組長が
ライフル銃で射殺』と報道されていた。

20××年になってから日本の暴力団は、4つに分裂され
まとめられるようになった。
殺された白虎組が関西や中部地方中心の組。

玄武組が東北地方や北海道中心。
南…中国地方や四国、沖縄や九州地方中心なのが朱雀組。
最後がもっとも大きく関東中心で
四神会のリーダーとして指揮を取っている青竜組だ。