「そうか……伊波先輩の弟に会ったのか。
 伊波先輩に弟が居るのは、知っていたけど直接
会ったことはなかったんだよな。
 確かに……彼は、自殺だった。先輩も凄く落ち込んでいたし」

「その事件って何ですか?
やっぱり赤薔薇会の仕業なんですか?」

 伊波さんの死の真相を知れば、もしかしたら
神崎さんの力になるかもしれない。
 そうしたら、またきっと……。
すると瀬戸さんは、複雑そうな表情をしていた。

「伊波先輩がもっとも大切にしていた人を失ったんだ。
ひき逃げだったらしい……。
 多分そのひき逃げしたのが赤薔薇会じゃないかって
噂が流れたんだ……」

 もっとも大切にしていた人?恋人かな?
いや、それよりもひき逃げって……。
 もし赤薔薇会だったら神崎さんも許せないはずだ。
それで伊波さんが病んで自殺したのだから

 やっと赤薔薇会に対する神崎さんの真相が分かった。
だから、あんなに憎んでいたのか……。
 俺は、改めて赤薔薇会が許せないと思ったし
なおさら神崎さんを支えたいと思った。
 しかし瀬戸さんは、それをあまりいい風には思ってないようだった。

「立花君。俺も先輩と同意見で
あまり事件には関わらない方がいいと思うよ?」

「な、何でですか!?」

「先輩は、君を危ない目に遭わせたくないんだ。
 君は、まだ学生だし俺も刑事としてそれが心配だ。
あまりこの事に首を突っ込まない方がいい」

瀬戸さんまで!?
 神崎さんのお父さんである警視総監も同じ事を言われたし
神崎さん自身もそれを望んでいない。
 まるで俺が頼りなく何も出来ないみたいに
言われたようで悔しかった。

 俺だってやれるのに……。

 確かに何か才能がある訳でも
頭脳も体力や強い訳でもないけど俺だって……。

「俺は、俺のやり方で神崎さんを支えます!
伊波さんの代わりぐらいなれますから」

「立花君!?」

 同じ事を言われたショックや腹が立って
そのまま定食屋から飛び出してしまった。
 そういうところが、まだガキくさいのかもしれない。
でも……俺だって神崎さんの役に立ちたいんだ。