「チッ……やはり田辺さんにも使っていたか。
 “華の雫”を……」

 神崎さんが舌打ちをしていた。やっぱり!?
二階堂ユミカがニヤリと笑っていた。

「バレてしまったのなら、もういいわ。
 田辺さん。アイツらに暴れて殺しちゃって!」

 彼女が命令をするとトランス状態になった田辺さんは、
ヨロヨロとしながらも近くにあった椅子を掴んだ。
 まさかエレナちゃんと同様に今度は、田辺さんが
暴れるなんて……。
 ど、どうしようと思った時にはもう遅い。
椅子を投げてきた。悲鳴が飛ぶ。

 そしてハサミを見つけるとこちらを睨み付けてきた。
ちょっと……凶器は、反則だぞ!?

 その間に二階堂ユミカは、隙を見て控え室から
出て行ってしまった。捕まえないと……。
 だが田辺さんが……。

「立花。来い!追いかけるぞ」

「えっ……でも……」

「コイツのことは心配いらない。リカコさん
 よろしくお願いします」

 神崎さんは、リカコさんに頼んだ。えっ?
するとリカコさんは、拳を構える。
 そして田辺さんに向かって行く。

 危ないですよ……!?と思ったがリカコさんは、
ハサミを振り回す田辺さんを避けながら強力な拳を
彼の頬を目掛けて殴った。

「オネエを舐めんじゃねぇー!!」

 野太い低い声と一緒に殴った威力は、ボクシング並みだ!
 田辺さんは、吹き飛ばされそのまま倒れてしまった。
ま、マジっすか……!?

「ほら立花。行くぞ!」

 しかし神崎さんは、表情1つ変えずに俺に行くぞと言ってきた。
 俺は、ワケが分からなかったが言われるがまま
控え室から出て二階堂ユミカを追いかけた。