そういえばさっきも同じことを言っていた。
 おかしくないか?だって……それ。

「何故知っているんですか?彼が自殺だって?
 一般から見たら他殺しか見えないし
 彼が自殺だと認定されたのは、昨日で
まだ報道しないように口止めまでしておいたのに」

「そ、それは……」

 神崎さんの発言に言葉が出ない二階堂ユミカ。

 「それだけではない。あなたは、田辺さんに
いいように言って罪を擦りつけるために手伝わせた。
 そうだなぁ……アロマを使い気を引いている間に
脅迫文の下書きを隠すようにとでも言ったのでしょう。
 違いますか?田辺さん……」

 チラッと神崎さんは、田辺さんを見る。すると
驚いていた顔から赤くして怒り出した。

「ど、どういうことだよ!?ユミカちゃん。
 俺は、アロマを引いている間に隠せって……。
 ちょっとムカつくから、それで怖がらせてやろうって
言っていたじゃないか!!
 そうしたら一緒に食事をしてくれるって……」

「ちょっと変な言いがかりつけないでよ!?
 私、そんなの頼んでないし。それなら
田辺さんにも犯人の可能性だってあるわけだし
 だ、大体それなら伊藤さんが自殺したことで
間違いないんでしょ!?なら私関係ないじゃない」

 田辺さんは、自白したが二階堂ユミカは、
何も知らないと言い出した。
 これだと脅迫状を出しただけで二階堂さんが
殺した証拠にはならない。
 確かにそれだと田辺さんだけがやったとも言えるし……。

 「……そうでしょうか?伊藤さんは“華の雫”を
摂取させられていました。その薬は、新種の麻薬です。
 相手をトランス状態にさせて思い通りに
動かせることが出来る特殊なやつですが、まだ
世間の一部しか出回っていません。
 しかしあなたは、その扱い方を知っていた。
それは、アロマの中身を知っていた人物だということになります」

 「それと赤薔薇会は、慎重だから痕跡は、全て
データを一切残らないように消していると思いましたが
 あなたと田辺さんとのやり取りはないかと探してみたら
見つかりましたよ!
 あなたは、お互いに消したつもりでも
田辺さんのPCウォッチから
あなたがアロマを置くように指示を出したことや
脅迫状のことまでデータを復元出来ました。
 知らないなら、そのアロマは、何処で手に入れたのですか?
二階堂ユミカさん……」

 彼女を追い詰める神崎さん。
二階堂ユミカは、言葉を詰まらせ黙っていた。
 しかしフフッと笑い出した。

「田辺さん……“愛してる”」

えっ……?
 すると田辺さんが硬直したように動かなくなった。
目が虚ろになっていた。ま、まさか!?