「それって田辺さんが犯人じゃないですか!?」

「いや。それだけだと何とも言えない。
 証拠もないし。とぼけられたら終わりだ。
しかし可能性が高いなら確かめる必要があるな。
 エレナちゃん。ちょっと君に協力を頼みたい」

エレナちゃんに協力を頼む神崎さん。
 確かに証拠がないと捕まえることが出来ないけど
でも何をするんだ……?

「協力ですか……?」

エレナちゃんも驚いた表情をしていた。
 一体何を企んでいるのか分からなかったが
神崎さんのことだ。何か考えがあるのだろう。
 その後。俺らは、指示に従うことに。

 それが本当に犯人を特定する動機になるとは、
思えなかったけどやらないよりは、やった方がいい。
 エレナちゃんも伊藤さんのために承諾してくれた。

 翌日。俺は、またリカコさんのアシスタントして
エレナちゃんと一緒にスタジオに行くことにした。
 神崎さんは、後で同行するらしい。
 スタジオに入るとスタッフやモデル仲間が心配して
駆けつけてくれた。

「エレナ。大丈夫なの…身体の方は?」

「えぇ、心配をかけてごめんなさい。
 完全じゃないけど…大分良くなったわ」

「それならいいんだけど…元気出してね?」

「ありがとう」

 エレナちゃんは、お礼を言い笑顔を見せるが
しかし仕事の方になると、やっぱりぎこちない笑顔のため
なかなか上手く行かなかった。無理もないが……。

「エレナちゃん大丈夫かい?
少し休憩しようか?」

「…はい。すみません」

 出来ない自分にしゅんと落ち込んでいた。
俺は、心配しながら黙ってそれを見ていた。
 するとまたあの女性が嫌味を言うために近付いてきた。
二階堂ユミカだ。