「何がなるほどなんですか?神崎さん……」

全て分かったようにまた呟いてきた神崎さん。
 その表情は、余裕な表情をしていた。

「どうやらアイツらは、赤薔薇会の手に寄って
集められたメンバーって事だ!
 その証拠に犯人らは、お互いの名前すら曖昧だし
協調性すらない。俺らの行動を把握しているとしたら
 今日俺が支払いに銀行に行くことぐらい把握が出来たはずだ。
それに銀行を見てみろ?防犯が発動していない」

あ、確かに!!俺がおかしいと思ったのはそれだ。
 本来なら防犯機能が発動するはずだ!
最近の銀行などには、防犯システムとして入り口に
X線検査が設置してある。もし拳銃や刃物などが
持ち込まれたらブザー機能が発動する。

ブザー機能が発動すると入り口が封鎖され
窓口は、防犯用のガラス窓が下りてくるようになる。
 そして速やかに警察に連絡されるはずだ。
なのに今は、その気配すらない。まるで銀行強盗なんて
来て居ないかのように反応すらされてなかった。

システムエラーか?
 銀行の人達は、何が起きているのか分からずに
青ざめていた。客も怖がっているし。
 あ、もしかして……これも赤薔薇会が仕組んだのか!?

「どうやら気づいたようだな?
 赤薔薇会なら銀行のシステムをハッキングして
停止することぐらいは、簡単に出来るからな。
 アイツにお金を奪わせるのは、口実で本当は、
邪魔な俺らをまとめて始末するのが目的かもしれないな」

 はぁっ~!?そんなついでみたいなことって……。
銀行のように強化したところに簡単に
 ハッキング出来るのも凄いが、何でそれで
俺らまで始末しないといけないわけだ?

そもそも何で赤薔薇会は、そこまでして
 俺らを危ない目に遭わせたいわけ?
何故だと考えるほど意味が分からなかった。
 頭を混乱させていると神崎さんは、自分の拳をギュッと
握り締め眉を寄せた。
その表情は、怖くて俺は、ビクッと肩を震わせた。

「アイツらと俺は、因縁がある。
 アイツらは、邪魔をしてくる俺が鬱陶しいのだろう。
いや……それだけじゃない。楽しんでいるんだ。
俺が憎む姿を見るのを……」

神崎さんを……憎ませるほど?
 俺は、その意味がまったく分からなかった。
しかしその表情は、普段の冷静沈着な神崎さんと違い
 まるで別人のようだった。何かある。
赤薔薇会と神崎さんの間に……。

「だが……簡単には殺される気はないがな」

えっ……?
 神崎さんは、ポケットから何かを取り出した。
見るとキンホルダーだった。
しかしPCウォッチと同じ形をしていた。