えっ?あのお守りってそのために渡してきたのか!?
 不思議に思っていたが、まさか……。

俺は、唖然とする。あ、ボーとしている場合ではない。
 必死に身体をよじらせクローゼットの戸に
体当たりする。すると戸が開いた。
 なだれるように外に落ちる。やった~開いた!!

「立花!?」

 しかしヤバいと思った佐々木慶一は、神崎さんが
俺に気を取られている間に隙を見て窓から逃走してしまう。
 あ、逃げられてしまう!?

「逃げられると思うなよ……」

 すぐに神崎さんは、後を追いかけた。だが
予期せぬ状態になる。玄関そばで待機していたはずの
瀬戸さんが何者かに襲われ後頭部に怪我をした。
 そして逃げていた最中にワゴン車が来るとそのまま
佐々木慶一を拉致して行ってしまった。
短時間の出来事だった。

 俺は、無事に救出された。その際に神崎さんが
それをやったのは、赤薔薇会だと言っていた。
 踞っている瀬戸さんの近くに赤薔薇が落ちていたのと
この状態を予測して流れるように拉致が出来たのも
普段の手口と同じだからと……。

「何故?佐々木慶一を拉致したのでしようか?」

「口封じだろう。俺らに捕まり余計なことを話させないために。
 アイツらは、いつもそうだ。例え犯罪の手助けしても
用が無くなったり、失敗すれば平気で殺す。
人を駒や道具としか見ていない奴らだ……」

そう話す神崎さんは、眉を寄せて
 凄く複雑そうな表情をしていた。まるで
憎んでいるような雰囲気だった。
 もしかして赤薔薇会に何か因縁があるのだろうか?
俺は、そんな風に感じ取ったのだった……。

 それから数日後。佐々木慶一……いや井戸慶一は、
神崎さんの予想通り遺体として発見された。
 口封しのために簡単に人を殺すなんて本当に恐ろしい。
これが赤薔薇会のやり方なのかと恐怖を覚えた。

 そんな中俺は、神崎さんに誘われ一緒に病院に向かった。
瀬戸さんのお見舞いに。赤薔薇らしき人物に
後頭部をいきなり殴られたらしいが、命は別状なく
幸いにも軽傷だったらしい。

「思いっきり殴られたのに軽傷って
お前は、相当石頭だな?」

「勘弁してくださいよ~こっちは、
大怪我するところだったんですから。しかも
犯人を取り逃がすし、上司に怒られるし殴られ損ですよ」

「まぁお前の好きなカツサンドとサーモンサンドを持ってきたから機嫌直せ。
それよりもそいつの顔は、見てないのか?」

「わぁ~ありがとうございます。
 いいえ。いきなりだったし、意識を無くしたので何も。
でも気配は、まったく感じなかったので相当なやり手ですね」