「お隣いいですか?」

美里が訪ねる。桜の王子様ともう一人が向かい合って座っている。

四人用の机で空いているのだ。

「お、美里じゃん、久しぶり。」

桜の王子様の向かいの人が手を振った。

「瀬名先輩、お久しぶりです。」

「空いてるし座れよ。」

「はーい。鈴音、こっち座っていいって!」

美里が瀬名先輩という人の隣に座る。

(え、私横じゃん)

喜んでいる自分にびっくりする。

「鈴音ー?座りなよ」

「あ、うん!」

鈴音が席まで行こうとすると、

「はい、おいで?」

桜の王子様が席を引いてくれた。

「あ、ありがとうございます。」

(心臓の音、うるさい)

自分の鼓動が耳の横で鳴っているようだ。

鈴音はそっと座る。

桜の王子様のいる右側がやけに熱く感じられた。