それは高校一年生になる少し前の春休みの事だった。
母がいきなり俺に向かって
「あんた男子校行ってくれる?友達からの紹介でその方が安くて済むんだよ…」
と言ってきたことが始まりだ。
「え?!なんで?俺一応女の子だよ?いくらお金が浮くからって言われても無理無理!」
バレる…バレるってば…
安くなるのは嬉しいんだけどいくらなんでもバレるだろ。
てか安くなるって漫画じゃねぇだからありえねぇだろ。
「大丈夫!髪だって切って、制服きたら分からないって!あんた男顔だし胸ないから行ける行ける!」
え?待て待て大丈夫なわけないだろ…女だぞ?
これでも一応女の子!てか勝手に決めすぎだよ母ちゃん…む、胸も小さいけどあるよ?
俺は自分の胸元へと視線を落とし首元の服を掴み服の中を見た。
俺は少しガッカリした。まぁ母ちゃんの言ってることも間違ってねぇな…と思ったからだ。
ん?え?てことは?
「ちょっまって!髪切んの?」
話進みすぎじゃね?…とか思いながら考えていると母からまたよくわからねぇ事を言われた。
「まぁもうどうこう言っても遅い!高校だって手続きしちゃったし美容院も予約しちゃった!てへっ」
てへっ…じゃねぇよ!なんだよ、てへっ…て!
「え?!早くない?!ちょっと!」
ということがあったのです…
にしても少し母ちゃん強引じゃないかい?