「な、なんですか……」
少し先生から離れると、先生の香水なのか……残り香が香った。
シトラス系の爽やかな匂い。
不思議と、先生にぴったりだと思った。
「なにも言わないから、俺と仲良くしてくれないのかなぁと思って」
……な、仲良くって……っ!
先生と生徒って仲良くするものなのっ⁉︎
かっこよくてチャラさ満載のこの先生が言うから変に捉えてしまうのか……余計なことを考えちゃう。
「名前、なんて言うの?」
「……呉羽(くれは)つむぎです」
「呉羽って変わった名字だな」
「……よく言われます」
「呉羽、これからよろしく」
再び目線を合わせてきた先生はそう言って……私の頭を優しくポンと叩いた。



